待ち合わせ場所に着いてすぐに、ケータイをバッグから取り出して時間をチェックした。
ちょっと早かったかなぁ…。
まだ待ち合わせの時間まで20分ある。
ケータイをバッグにしまい込んで、その場所で愛を待つ。
その間、私の前を通り過ぎて行くのは、殆んどがカップルだった。
手を繋いで幸せそうに歩いてる。
それを見る度に“いいなぁ”って心の中で思ってる。
私には彼氏いないし…。
2年前までいたんだけど、彼に他に好きな人が出来てフラれちゃった。
あ…。
思い出したらなんか泣きそうかも…。
フラれちゃったけど、もしかしたらまだ好きなのかな…?
俯いていると、背中を誰かにツンツンてつつかれる。
「…愛…?」
私が振り向くと、そこには見知らぬ男の人が立っていた。
「君が西岡優月(ニシオカユヅキ)ちゃん?」
この人はなんで私の名前を知っているんだろう…。
少し怖くなって、私は一歩後ろに下がった。
その男の人は、キョトンとした顔で、私を見る。
でもすぐに優しそうな笑顔を私に向ける。
「驚かせてごめんね。俺、藤堂碧依(トウドウアオイ)っていうんだ」