背の高い藤堂さんはかがんだ状態で、同じ目線くらいにある長くふせられた睫毛が綺麗に見える。


思わず見とれてしまっていた私を見て、藤堂さんは笑った。


それが恥ずかしくて、誤魔化すためにクレープを口に運ぶ。



「はは。クリーム付いてる」



私の口元に付いたクリームを藤堂さんは親指でとって、自分の口に運んだ。


私が口をパクパクさせていると、あの微笑みを見せる。


ズルいよ…。


膨れっ面の私に



「今度は浴衣着てきてよ」



って優しく言う。


今度って……?



「今日だけじゃないんですか…?」



私が聞くと、藤堂さんは顔をしかめた。



「あの2人はそのつもりだろうけど、俺は最初っからそんなつもりないから。だってもったいないじゃん。“当日限定”だけなんて」



それは今日だけじゃなくてもいいってこと…?


また会えるってこと?


夢じゃ…ない…よね…?



「また一緒に、お祭りに行ってもいいんですか?」



「祭りだけじゃなくても、一緒に行きたいと思ってるけど?」



本当に……?


嬉しくて泣きそうだよ……。