箒を手で動かしながら、白雪姫は小さな椅子や衣類、小物などを目にして思いました。
(…きっと、住んでいるのは子どもなのね)
しかしその予想は見事に外れ、住んでいたのは七人の小人でした。
彼らは毎日出かけ、金や銀、ダイヤやルビー などといったものを掘り起こして暮らしていたのでした。
夕方になると、小人たちはいつものように仲良く歌いながら山道を帰って行きました。
そして小川の、木が倒れてできた橋を渡り、家の近くまできた小人は驚いて立ち止まりました。
「…変だぞ、灯りがついているっ!」
「留守の間に誰か来たのか…?」
小人たちはビクビクと七人で固まりながらそーっと家の中に入りました。
「おーう? 床が綺麗だっ!」
小人のひとり、内気な性格のてれすけが目をパチクリさせ、第一声を上げます。
「あれぇ? 窓もピカピカだよぉ。夢みたぁいっ!」
「家中が綺麗に掃除されている…はくしょんっ!」
ねぼすけが眠そうな顔で笑い、くしゃみがくしゃみをしながら目を輝かせます。
「む…、これは災いの前触れかもしれぬっ!」
「……んー、いい匂いがするぅっ! スープだぁっ!」
いつも口をへの字にまげているおこりんぼの言葉を華麗にスルーして笑顔を浮かべた、この中で一番若い小人、おとぼけ。
「もしかしたら誰か二階にいるかもしれない。調べてみようっ!」
小人のリーダー、せんせいが眼鏡を掛け直して二階に繋がる階段をのぼりはじめると、後から他の小人たちもついていきます。


