それを呆然と見送る家来は立ち上がり、乾いた笑みを浮かべて空を見上げました。
「……就職難か、確かになぁ」
ポリポリと頬を掻いた家来は身を翻し、白雪姫とは反対の方向に歩き出します。
『時代遅れもいいところよ』
「………………家来、止めるか」
その言葉は思っていたよりも心に刺さったようで、家来は胸辺りを自身で慰めるために触れました。
そして、あの人大した給料くれないし、と言い訳のように彼は呟いたのでした。
「…っ、はぁ…」
家来が城に帰って行く頃、逃げていた白雪姫は荒い息を繰り返しながら森の奥深くまで辿り着きました。
彼女は疲れたように木に寄りかかります。
(ここまで逃げたはいいけれど…)
白雪姫は急に寂しさに襲われ、自分を抱き締めるように身体を丸めました。
するとペロリと何かに手の甲を舐められました。
白雪姫はハッとして顔を上げると、目の前には沢山の動物たちがいました。
(いつの間にこんなに…)
驚いて目を丸くしていると、またペロッと舐められました。
それに注目するとどうやら舐めたのは猫のようです。


