昔々、あるところに白雪姫という可愛らしいお姫様がおりました。

そのお姫様のお母様は亡くなり、お城に新しい母、つまりは女王がやってきましたが、それはそれは意地悪な人でした。

彼女に粗末な服を着させ、掃除や水くみ、洗濯などということばかりをさせて、白雪姫はまるでメイドのような扱いをうけていました。

しかし白雪姫はとても素直な子なので毎日一生懸命働いています。


そんな彼女には、夢がありました。


(いつか愛する人と幸せに暮らしたい…)


それは女の子なら誰でも憧れる、可愛らしい夢です。

白雪姫は心の内で願うとふわりと笑い、お城の庭で水をくみながら青空に向かって歌いはじめました。


そして今日もまた、白雪姫はいつものように水くみをしながら歌っています。すると、彼女の目の前に王子様がやってきました。

王子様は茶髪に同じ色の瞳をもつ端正な顔立ちの方で、白雪姫は彼を一目見た瞬間に顔を赤く染めます。


(……なんて、お優しそうな人なの)


物腰が柔らかく、スッと目を細め笑みを浮かべた王子様はゆっくりと口を開きました。