だって
だって、急にそんなこと言われるなんて
思ってなかったし……
こここ、光太くんの
こんなに可愛い顔見れるなんて
思ってなかったし……。
なんて考えてたら
あたしの体が無意識なに熱くなる。
あ、恥ずかしくなったきた。
あたしは熱くなった自分の頬を手で包む。
どうしよう
光太くんの顔まともに見れないかも…
なんて考えて
一人で舞い上がっていると
光太くんがカバンを持って立ち上がった。
「じゃ、俺そろそろ行くんで…」
「え、ど、どこに?」
あたしはとっさにそんな言葉が出てしまっていた。
だ、だって
光太くんとまだ一緒にいたいし…。
「……えっと、家に帰るんで…」
「あ、そ、そっか」
そりゃそうだよね。
今日は部活ないみたいだし。
ほんとだったら
今日、光太くんが道場にいたのも
奇跡みたいなものだし……。
さっきまで楽しかった気持ちが
またどんどん沈んでく。
もう、
会えないのかな?
こんな風に
二人っきりで
もう、会うことはなくなるのかな?
そう考えただけで心がずきっと痛む。
嫌だな。
もっと光太くんと一緒にいたい。
あたしは道場から立ち去ろうとする
光太くんの服の裾を無意識に掴んでしまう。

