嘘つき偽彼氏





なんて考えながら
光太くんを見ていたんだと思う。


バチ……


あ、目があった。



あたしが電話している光太くんを見すぎていたのか
光太くんと視線が合う。



ど、どうしよう。


目があってしまったら
なかなか視線を逸らすことができない。


どうやって逸らしたら……


なんて、考えてたら…


急に光太くんの大きな手があたしに伸びてきた。



「え」


その手大きな手はあたしの目を優しく包む。


え?え?


な、なに?


もしかして
お前なんかに見られたくないから
こっち見るな。


みたいな無言の合図だったりして……


なんて考えながら一人勝手に落ち込むあたし。





「うん、わかった、じゃあ…」


ぴ。


光太くんが電話を切る音が聞こえたと思うと
あたしの視界が明るくなる。


あ、光太くんの手が離れたんだ。


そう思って光太くんの方をチラリと見る。






すると……





「あんまり見られると……恥ずかしいんだけど」


「え…」


光太くんはそう言って頬を少し赤らめ
困ったような顔であたしのことを見て
可愛らしい言葉を言った。



あたしは、期待していなかった
思いがけない言葉に目を丸くしてしまう。