嘘つき偽彼氏





な、なにを言われるの?


そんなことを思いながら
心臓をバクバクと高鳴らせると
男の子の口が開く。



「俺、君って名前じゃないよ?」


「………え?」


「光太。光太くん」


そう言ってにしゃっと笑う
光太………くん。



うわ……


いきなりのその笑顔…


反則なんですけど。



そう思うと同時に
あたしの体全体が一気に熱くなる。


ほんとに
お茶でも沸かせるんじゃないかってぐらい。


だって
だって……


かっこよすぎて…

そ、それに……



「こう…た……くん?」


「なに?」


そう言ってにっこり笑って
小首を傾げる光太くん。


「な、なんでも……」


あたしは下を向いて
光太くんに自分の顔が見られないようにした。


だって、だってだって


あたし

初めて、好きな人の名前


知っちゃったんだもん。