ヤバイ!
心の底からそう思った。
だって、あたし今
無断で道場の中に忍び込んでる。
そんなところを見られて
ももももも、もし
何か盗みに来たとか変なことを思われてたら………。
そんな考えが一気にあたしの頭の中に流れ込む。
体全身から変な汗が流れる。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
こ、こうゆうときにやることは
ひとつしかない…!
「す、すいませんでした!」
あたしは思いっきり頭を下げて誤った。
だだだ、だって
こうするしかないじゃない!
「……」
大きすぎるあたしの声が
静かな道場の中に響く。
って……
な、何も言ってこない。
あたしは頭を深く下げているせいで
道場の奥にいる人がどんな人で
どんな表情をしていているのか
今、どの位置にいるのかわからない。
勝手にバクバクとうるさくなる
あたしの心臓。
な、なんで黙ってるの?
あたしは不思議に思い
ゆっくりと頭をあげる。
「あ、この前の先輩だ」
顔を上げたとき
あたしの目の前には
大好きな人の
かっこいい顔があった。

