「まあまあ。落ち込まないでよ。付き合いたてはそんなもんなのかも」

「そうなのかな…?」

「そうだよ。だからこんなところで油売ってないでさ、彼氏のところ行ってきなよ」

と比佐子は詩織の背中を押した。

その彼氏は教室の後ろで男友達と話していた。

意を決して詩織は近づいた。

それに気がついたのは秀一の親友、雅也だった。

「あ、今田さん。なに?どうかした?」

「あ、えーっと」

どうしたの、と聞かれると困る。

どうもしていないのだから。