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「それでずっーと黙ったままだったの?」

友人、比佐子の言葉に詩織は黙って頷いた。

「それはきついなー。耐えらんないなー。まあ相手はあの矢内だからね。仕方ないかもねー」

他人事のように比佐子は言った。

「今までだってそんな話したことなかったのに、急に二人になるとどうしたらいいか分からないよ」

「でもつき合ってんでしょ?」

「付き合ってる」

はずだ。だんだん自信がなくなってきた。

秀一の態度は昨日までとなんら変わらない。

もしかして昨日の出来事は自分の妄想なのか。

そんな事まで考えてしまう。