君の王子様になるために



「…姫、小林さんと付き合うんやろ?
うちのことフリに来たんやろ?」



公園の小さな電灯に照らされた彼女。



その姿はいつもよりずっと心細そうに見えた。




それがいじらしくて、可愛くて…。




俺はぎゅっと抱きしめた。



一ヶ月ぶりの彼女のぬくもり。



ずっと我慢してたけど、もうえぇわ。



いくら拒否されても、止めたらへんねん。




だって、弥生ちゃんの気持ちなんとなく伝わったから…。




でも彼女は身動き一つせぇへんかった。





「弥生ちゃん、今から俺の言うこと聞いて?」


「…嫌や。 別れ話なんやろ」




俺の腕の中の彼女は駄々っ子みたい。



それさえも、愛しく思う…。