美香の家族構成は複雑だった。
美香の母親に新しいお父さんに新しい弟。

美香が5歳の時に父親は亡くなり10年たった今年、新しい父がやってきた。
おまけに今3歳という弟を連れて。

母親は弟に懐かれようと必死でがんばってる。
お父さんは母親の気を引こうとがんばってる。
今まで子供の相手をしたことのなかった美香にとって弟は言葉の通じない宇宙人。
少しも新しい家族に馴染めない美香に母親は焦り突然叱った。

それをきっかけに美香は家を飛び出した。

友達の家を転々とし1週間。
行く当てもなく公園で考えてたらふと聞こえるメロディー。
美香は和馬に吸い込まれていく。

やまない雨。
泣き止まない美香。

和馬は悩んだ。
そのとき美香が口を開いた。

「ねぇ。公園で弾いてた曲また聞きたい」

そう言い美香は微笑んだ。

和馬は驚いた。
あの時美香は聞いてないと言ってたのに本当は聞いていてくれていたことと突然の笑顔に。

「ああ。いいよ」

そういって和馬はギターを取り出し弾きながら歌った。
美香は真剣になって聞いていた。

和馬は照れながら

「…おしまい」

といった。

美香が聞く。

「この曲名なぁに?」

「んとね、まだ曲名ないんだ。さっきできあがったばかりだから」

美香は嬉しそうにいった。
「じゃあ私が考えてもイイ!?」

「うん、いいよ」

美香は更に嬉しそうにしながらいった。

「雨の中のメロディーがいい!」