「沙蘭ママ~来ちゃった」


「あら、龍之介! いつもご苦労様です。カウンターにお掛けになって」


桃園結義は小さなスナックだった。


秋葉原という電子的な物を扱う町で、心を通わせられる場所があると安心するのだろうか? 


客のいない日は無い。そんなお店だった。いわば、夜のメイド喫茶の役割をしているのだろうか。


このお店のママ、道端沙蘭(みちばたさらん)も美人で気立てがいい。暖かく優しい人柄も客受けが良く、店がこじんまりとしていてもやっていけるのだろう。


お得意様とはいえ、私もこのママのファンだった。