「別れて正解って思われるだけの男ってことよ。今の憂ちゃん」

優しく尽くしてくれる大人しい彼女を捨てて、華やかで可愛い女の子に乗り換えた薄っぺらい男。


確かにそんな風に言われたら、別れて正解って思われるような奴に聞こえるかもしれない。


「でも、別れる時に雨花は……俺のこと好きだから、今まで通りには出来ないって」


別れを告げても雨花は未練を感じてくれるくらい、雨花は俺のことを好きでいてくれた。

それを盾に自分は薄っぺらい男じゃないって、主張しようと試みるが……。


「何言ってるのよ。今まで憂ちゃんに向けられてた好きなんて、そのうち別の誰かに向けられるわ。それで、憂ちゃんのことなんかすっかり忘れちゃうんだから」


そんな俺の薄っぺらい主張は、姉貴に鼻で笑われて木っ端みじん。


……別れた男をいつまでも好きで居るほど、雨花だって馬鹿じゃない。

それに……俺と違って本気で雨花を想って大切にする奴だったら、雨花だって幸せだろう……。
自分の都合で振り回してばっかりだった俺のことなんて、一瞬で忘れてしまうに決まってる……。