走り去っていく雨花をぼんやりと見送ったまま、俺はその場から動くことが出来なかった。


最初に計画してたみたいにヤリ捨てこそしてないけど……雨花を深く傷つけてしまったことには違いなかった。


雨花を傷つけずに済む……なんて、罪悪感から逃れたい自分への都合の良い解釈だった。


……でも、これで良かったのかもしれない。


雨花の気持ちに応えられないなら、関わらずに俺のことを忘れさせてあげるのが……唯一、今の俺に出来ることだと思うから。


なんて、これも罪悪感から逃れるためのただの言い訳だってわかってる。
その証拠にいくら言い訳を考えたって、胸の奥にあるモヤモヤした気持ちは全然消えてはくれなかった。


むしろ、雨花の去り際の悲しそうな顔を見てから、モヤモヤはどんどん強くなっていく。


雨花の大好きの隙を利用して失ったものの代償。


それに俺はまだ気付けないでいた。