「良かった。これで、雨花のことも傷つけずに済みそうだし」


「……ホントにそうだと良いけどね」


「えっ? 航平なんか言ったか?」


「別に」


航平がポツリと言った言葉がうまく聞き取れなくて聞き返したけど、あっさりと作り笑顔でスルーされてしまった。

……まぁ、スルーすくらいなら大したことじゃないんだろう。


これで俺も雨花を利用してるっていう罪悪感から開放されて、さっきまでみたいに悩んで苦しむこともなくなるんだ。


それに、雨花に手を出す前だから傷つけることなく別れることも出来るしな。


最初の計画とは違う展開になったけど、これで全てが円くおさまるってワケだ。



今日の帰りに雨花に別れよって言おう。


なんて軽く思っていた自分がバカだって自覚するのは、今から数時間後のことだった。