最初に計画を思いついた時には、こんな風に迷ったり悩んだりする日が来るなんて思いもしなかった。


あれからいつもどおりの態度でテレビに意識を戻した雨花に甘えて、何事もなかったようにDVDを最後まで見て帰り道を送り届けてるワケだけど……。

頭の中は罪悪感がじわじわと占領していってる。


こんなことなら情が湧く前にさっさとやることやってしまえば良かった。
そしたら、こんなに苦しくなんかならなかったのに。


なんて、自分勝手な独り言を頭の中でぐるぐるさせているうちに、いつもの別れ道までやってきていた。


家まで送るって言ったけど、例のごとくで俺の帰りが遅くなるからここまでで良いって言われたのだ。


「送ってくれてありがとう」


「うん。気をつけて」


こう言って軽く手を振った俺は、ちゃんと笑えていただろうか……。


手を振り返していつもの道を歩き始める雨花の背中を見つめていると、


「っ?」


急にくるりと振り返った雨花が小走りにこちらに引き返してくる。

何か忘れ物かと尋ねる間もなく、


「っ!!」


走ってきた勢いのままギュッと雨花が俺の体に抱きつく。