キスで満たされた気持ち良さで気分が高揚して、そのままの勢いで雨花の首筋に唇を滑らせた。


「っ!」


一瞬びくっと雨花の体がはねて我に返る。


俺の制服の裾を握っていた手が震えるくらい強く握り締められている。


それを見たら頭の中の熱がすっと引いていって、ようやく雨花の顔を直視した。

潤んだ目がじっと俺の顔を見上げていて、胸が痛んだ。



「……ごめん。勢いづいた」


「ううん……緊張しちゃって。ごめんね、どうしても強張っちゃう」


いきなりで多分怖い思いさせたよな……。
雨花の顔、これ以上見られない。

感情任せに突っ走りそうになった自分に自己嫌悪で俯いて黙り込む俺に、


「憂梧くんなら嫌じゃないから」


それでもこう言って笑い返してくれる雨花に、胸の奥のほうが今までで一番ギュッと痛くなった。


俺の気持ちが純粋なモノだったらきっと、この雨花の言葉は嬉しいはずなのに……。
今の俺には、こんなこと言ってもらえる資格なんてあるんだろうか。