テーブルの上にはメインの煮込みハンバーグをはじめサラダやらスープやらが五人分、所狭しと並べられていた。
それを囲みながら風芽と雫樹がかわりばんこで学校であった話とか友達の話とかを喋ってて。
雨花がときどき相槌を打ったり笑ったり、母親が食べこぼしを注意したり……。
こんなに賑やかな家族団らんは久しぶりだった。
きっとそれはどこの家でも見られる日常の光景で。
目の前に居る人たちもこれが当たり前の時間なんだと思う。
最後にこんな風に家族で食卓を囲んだのはいつだっけ?
多分、高校に入ってすぐに入学祝だって姉貴夫婦と兄貴と晩ご飯を食べたとき以来だ。
「憂梧くん?」
「えっ?」
「どうかした?」
いつの間にか物思いに耽ってしまっていたらしく、手も動かさずに黙り込んでしまった俺を正面から雨花が心配そうに窺っていた。

