だいすきのすき

弟たちとゲームで対戦すること数十分。

キッチンの方からは空腹を刺激するような良い匂いが漂ってきていた。


「憂梧負けてばっかりだね」


「憂梧ゲーム弱すぎだぞ!」


「悪い悪い。久しぶりだったから」


何で対戦しても二人に惨敗しまくりの俺に落胆する風芽と、手応えなさすぎるとでも言いたげに唇を尖らせる雫樹にとりあえず謝っとく。

まぁ、最初は子ども相手だから手加減してやらなきゃ……なんて思ってた俺だけど。
ゲームなんて中学のとき以来で腕前はすっかり鈍ってて、コントローラーを操作するので精一杯って有様だった。


「次に来るときまで練習しとくこと!」


「えっ?」


慣れた手つきでゲームをテレビ台の中の収納に片付けていく雫樹が、こう言ってこちらを一瞥してた。

更に、


「また風芽とチームになってあげる」


ぴょこんと俺の膝の上に座りながら、人懐っこい笑顔を浮かべてる風芽に思わず口ごもってしまう。