こういう展開は予想外だけど。
これで雨花との距離が縮まるならアリかな。
なんて打算的なことを考えながら、
「じゃあ、お言葉に甘えて」
出来る限り爽やかな笑顔を浮かべて頷いてみせる。
「荷物持ちますよ」
「あら~ありがとう。助かるわ~」
雨花の母親から買い物袋を受け取り、その後ろについて歩き出した俺を心配そうに見上げる雨花と目が合う。
「ごめんね。お母さん強引で……」
ドンドンと前を歩く母親に聞こえないような小さな声で、申し訳なさそうにちょこんと雨花が頭を下げる。
そんな雨花の様子がちょっと気の毒で、
「びっくりしたけど嬉しいよ。誘ってもらえて」
手に提げた買い物袋を軽く持ち上げながら平気という代わりにニッと笑って見せた。
そしたら安心したみたいなホッとした表情になって、
「ありがとう。わたしも嬉しい」
こう言って買い物袋を持っていた俺の手にそっと自分の手を添えた。
それに不覚にもドキッとしてしまう……。
たかが手が触れたくらいで動揺するなんて、如何にも経験不足って感じだ……気をつけよ。
こうして雨花の家に着くまでの間、一人頭の中で反省会をするのだった。

