だいすきのすき

知り合って間もないし、付き合ってからほとんど日も経っていない雨花について知ってることはほとんど無くて。

その数少ない情報を寄せ集めた結果が、文庫本と雨だった。


「すごく可愛いっ」


「勉強教えてくれたお礼」


あからさまに、キミの好感度を上げて早く心も体も許してもらう為のプレゼントだよ、なんて下心丸出しの本心が言えるわけがないので、とりあえず勉強のお礼ってことにしておく。


そんな俺の心中なんて知る由もなく、


「ありがとう！　大事にするねっ」


雨花はピンクにしたほっぺで俺を見上げて、嬉しそうな笑顔を顔いっぱいに浮かべて見せた。


プレゼント作戦なんてベタかな～なんて思ったけど、効果はバッチリだ。

雨花は早速、さっきまで読んでいた文庫本にカバーを付けている。



この調子で優しくしていけば案外さっさと心も体も許してもらえるかも……？


なんて、純粋にプレゼントを喜ぶ雨花を見つめながらそんなことを思っていた。