「……なんだこの紙」


「あっ……」


答案用紙の束をペラペラと捲っていた汰一が、その中に紛れ込んでいたであろうレポート用紙を見つけ出して思わず固まってしまう。


言うまでもなく。
それはテスト前日に雨花がくれた要点をまとめたレポート用紙の一部で……。


「憂梧はいつからこんなに字が綺麗になったの?」


「いやぁ、まぁ……」


汰一から回ってきたそれは、どっからどう見ても俺が書いたものではなく。
航平の爽やかだけど一切目が笑ってない笑顔は有無を言わさない迫力があって怖い……。

だからこうなったら観念するしかないのだ。


「クラスの小西さんって子に勉強教えてもらった」


意を決して告げた真実を聞いて、同じタイミングで二人は顔を見合わせた。