「やっぱり憂梧に嫌気がさしたらとっとと捨てちゃって良いからね～」


「うるせぇよ！ もう、さっさと帰ろう雨花！」



皮肉を言う汰一を睨み付けた憂梧は、小西さんの手を握ってさっさと出口の方へと向かっていく。



「…………」



憂梧にされるがままで手を引かれていた小西さんが、ちらっとこちらを振り返る。


ヘラヘラと手を振る汰一と横で黙ってやりとりを見ていた俺。



そんな俺らに、憂梧が好きな平和スマイルを浮かべた小西さんがペコッと会釈をした。



「最初の鬼畜計画で憂梧が小西さんを選んだのってさ……運命だったんかもな」



その幸せそうな笑顔にほだされたのか。
柄にもなく真面目な口調の汰一に思わず笑ってしまう。



「そんなので片付けたら小西さんに失礼だよ。……小西さんに選んでもらったんだよ、憂梧が」



運命なんて言葉で済まされるほど、彼女の想いは軽いモノじゃない。
それが憂梧のおバカのせいで遠回りしてやっと伝わったんだ。



だから、せっかく選んでくれた小西さんに失望されないように……せいぜい悪あがきしてんのを見守っとくことにする。



並んで歩く二人の後ろ姿を一瞥しながら、俺は一人そう思うのだった。



終