「じゃあ、憂梧の希望通り小西さんに」


胸ぐらを掴んでいた憂梧の体をそのままグイッと小西さんの前に差し出した。


「雨花が気が済むなら!」


なんて言って憂梧は目を瞑るけど、


「あの……気持ちは嬉しいけど……そんなことしなくても信じてるから大丈夫だよ」


こう言って小西さんはほわんとした平和そうな笑顔を浮かべてる。


それが、


「雨花……ホントにホントにごめんっ!」


「わっ! 憂梧くん!」


どんな鉄拳制裁より憂梧には効き目があるらしい。



俺らの存在もシカトして思いっきり小西さんを抱き締める憂梧を見て 、思わず溜め息が零れた。