彼女の心も体も傷付く前に。
傷が浅いうちにって思った俺の気遣いは……。
「……やっぱりそうだったんだ」
こう呟いた彼女の表情が、こっちが思ってた何倍も落ち着いていて、俺の肩透かしに思えた。
予想外な彼女の反応に驚きを隠せない俺の心境を察したのか。
「憂梧くんみたいな華やかな人がなんでわたしを選んだんだろうって、ずっと不思議だったから」
意外にも小西さんは冷静にこの状況を見据えていたらしい。
……コンパでモテて浮かれてるどっかの誰かさんとは大違いだ。
「それでわざわざ教えに来てくれたんだね…… ありがとう」
「お礼を言われるようなことはしてないよ……全く」
更には俺を気遣ってお礼まで言われてしまって……居たたまれない気持ちで一杯になった。
お礼を言われる筋合いなんてない。
むしろ……計画がわかった時点で止めきれなかったことが申し訳ないくらいだ。
そうすれば彼女は全く傷付かなくてすんだのに……。

