だいすきのすき


かと言ってこのまま見て見ぬふりなんて出来ないし。


だから意を決して、俺は彼女に真実を告げる。


「イキナリこんなことを言われても困るとは思うんだけど……憂梧がキミに近付いたのは……キミを利用する為なんだ」


「利用?」


「童貞を捨てる為にキミに近付いてあわよくばって考えてるんだよ……アイツ」



緊張のせいか、ちょっと早口になってる俺の言葉を、小西さんはゆっくりと頭の中に入れて理解しようとしてる。



笑顔の消えた彼女を見てそう感じた。



まさか自分に告白してきた男にそんな下心があるなんて、誰も思わないだろうしな。



「残酷なことかもしれないんだけど……キミに傷付いて欲しくなくて」



なんて付け加えたのは、彼女じゃなくて自分へのフォローなのかもしれない。



だって、こんなことを言った時点で彼女は傷付いたと思う。きっと。



でも、みすみす友達が誰かを傷付けるのも、誰かが傷付くのも黙って見過ごせる質じゃない。



真面目っていうか……お節介な性格だよな俺。
我ながら難儀なことだ。