そんな俺の気持ちに気付いているのか。
そっと伸ばした小さな手のひらが俺の頬を包み込んだ。


「憂梧くんの狡い所も寂しがりな所も含めて好きだよ。間違えた時はわたしが教えてあげる。だから……」

傍に居させてください。


そう言って涙混じりの顔で笑いかけた雨花は、俺が大好きなほわんとした平和な笑顔を浮かべていた。


「……俺でいいの?」


ようやく出てきた言葉は自分でも呆れるくらい掠れていて、


「ふふっ、弱気だね。憂梧くんがいいんだよ……ずっと前から言ってるでしょ? 大好きって」


雨花の優しい声と笑顔で嬉し泣きしそうなのを隠すように、思いっきり雨花を抱き締めた。


「俺の初めて全部あげるから、雨花の初めても全部俺にちょうだい?」

「えっ!? っ!!」


俺の言葉で照れて真っ赤になって顔を上げたところに、チュッとキスをしたら更に真っ赤になって……今度は素直に可愛いって思える。


これからは傷つけた分とそれ以上に、雨花に気持ちを伝え続けていく。

本当に大好きって気持ちを。


真っ赤になって唇を尖らせた後、やっぱり平和そうに笑う雨花を見て、一人心に誓いを立てるのだった。