そのまま体を強ばらせた雨花をギュッと腕の中に閉じこめて、

「俺は雨花が好きだっ! 本当の事知ってもずっと優しくしてくれたって知って、罪悪感と好きなのがいっぱいになって……また好きになって欲しいって、俺に笑って欲しいってあれからずっと思ってる!」

思いの丈を目一杯ぶつけていく。
こんなの一方的で子どもっぽくてめちゃくちゃカッコ悪い。

それでも諦められない気持ちだけで、雨花を更に力強く抱き締め続けた。

ずっと固くしていた雨花の体が、徐々に解けていく。

それでも離すまいと閉じこめていた腕の中から、ポツリと声が聞こえてきた。

「……初めて本当の事を教えてもらった時、ショックだったけどやっぱりなって、納得出来たの。クラスメイトの若菜くんはキラキラした人だったから。わたしなんて好きになるはず無いって」


まるで独り言のように呟かれた雨花の心情に、思わず視線を向けるとこちらを見上げる雨花の瞳とぶつかった。


そのままそっと俺の胸から離れて、しっかりと俺の顔を見上げると、静かな声で言葉を続けていく。


何を言われるのか不安で仕方ない俺に、

「……最低なキッカケだけど、これがなかったら、こんな風に憂梧くんがわたしに好きって言ってくれることもなかったね、きっと」

小さく笑いかける顔は、今までと同じで優しい。

ようやく笑いかけてくれた……。

それだけで目の奥がじんじんして泣きそうになる。