宮野辺君との学校生活が始まって3か月が経ち、7月、夏だ。

せみの声があたりいっぱいに響いた。

そろそろまちにまった「夏休み」が到来する。

宮野辺君は、喜んでいた。

僕も嬉しかった。

7月下旬、全校集会が開かれ、校長先生から、夏休みについての注意事項やいつからいつまでという期間も伝えられた。

                                全校集会が終わり、教室に戻った僕たちは、夏休みに何をしたいかについて話し始めた。



「夏休みどう過ごす?」という、話が始まった。


「とりあえずさ、俺らでいろいろやってみない?」と宮野辺君が言った。

「いろいろって?」と僕が問いかけた。

「夏なんだからさ、きもだめしとか、虫取りとか、やってみようぜ!」と宮野辺君はテンションが上がった。
 
 僕たちは、宮野辺君の好みを一つ知ることができた。
 
 数日がたち、その日の朝、僕たちは近くにある森で昼は虫取り、夜はきもだめしをやることにした。
  
 その日の昼、虫取り網とかごを持ち、僕たちは森に向かった。

森に近ずくにつれて、だんだんと草木が生い茂り、太陽の光も、大きくて高い木々に隠され、暗くなっていった。

 僕は、「やっぱ、や、やめようぜ、こんなに暗いと、気味が悪いよ。」といったのだが、
 宮野辺君は、「ここまできて、なんだよ、まだ昼間だぜ。」と言って、足を止めない。

 しかたなく、僕は、一緒に進むことを決めた。

 そして、しばらく行くと、カブトムシやクワガタムシがたくさんいて、さっきまでの恐怖心は、いつのまにか消えていた。僕らは、カブトムシやクワガタムシを採りまくった。

 でも、採りすぎたので、ほとんど、自然に返した。そして僕たちは、もと来た道を通って帰った。

 帰りの道中、宮野辺君が、「疲れたなー、家に帰ったら夜に向けて準備しような。」と言ったので、僕は、「おう、じゃあ、準備して、夜まで待とう。」

 そして、夜になり、きもだめしをしに、今度は、さっきの森のカブトムシやクワガタムシがいたところよりももっと奥に行った。

 きもだめしで森のけっこう奥まで行った時に突然、宮野辺君が、「なあ、もう帰ろうぜ、さすがにもう帰ったほうがいいと思う。」と言ったので、僕は驚いた、昼間は強気な宮野辺君だったが、このときは、すっかり弱気だった。

 行きも帰りも、幽霊はでなかったが、フクロウの鳴き声に驚きながら、帰った。

これが、宮野辺君と過ごした夏休みの思い出である。