「 だって、スカート… これ短くないかな 」

「 あぁ…ここの制服 確かに短いですね 」


制服のデザインは全てみすずさんが手掛けたもの。

外見からも少し派手な印象を受ける彼女のことだ、
こうなることは親父も俺も分かっていたから
そんなこと気にも留めていなかった。

デザインを簡単に説明すれば、
女性用は茶色のワンピースに白のエプロン。

メイドコスプレ…とまではいかないものの、
個人経営の喫茶店にしては気合いの入った制服だ。
一部の常連客には、かなりウケているらしい。


「 こんな丈、高校生以来だよ… 」


なんて言いながら両手で顔を隠すしぐさは
可愛いなんてもんじゃない。


「 お、俺も着替えるんで、すいません 」


そんな緋依子さんを直視できないままそう言うと、
彼女は、待たせちゃってごめんね!と言いながら
ぱたぱたと親父の待つ厨房へと向かって走って行った。


ひとりになった俺は深く深く、深呼吸をする。

もう駄目だ、認めざるを得ない。



彼女の毒リンゴを食べてしまったのは、この俺だ。


─── 俺は、緋依子さんに 恋をした。



◎ しらゆきひめ end.