ダボダボのズボンの中に手を突っ込んでボリボリ掻きながら、俺は気だるく立ち上がる。

今日はバイト休みだし、パチンコ行くか。


…財布の中は…小銭しかない。やべえ…昨日負けたせいだ。
くそっ!給料日まで後10日もあんのにどうすんだよ!?

俺は財布を畳に投げつけてやる。
投げつけたら札ふえねぇかな?

アホなことは止めて電話を掛ける。

最後の親頼みだ。
電話は待ちきれないかのようにすぐに出た。


「もしもし?」

「この電話番号からの電話はお受けできません…。」

マジかよ…。やべぇ…金欠だ。

イライラした気持ちを晴らすべく、俺は適当な部屋の新聞を取りに行くことにした。

俺の部屋はボロいプレハブの2階の真ん中あたり。
このアパートは変わっていて一回のポストまで取りに行かなければならない。


階段を降りていくと俺の部屋の番号が書いてあるポストが見えた。

「…なんだ?」

205号室と書かれたポストがガタガタと音を立てて揺れていた。

俺の部屋だし。


しばらく様子を見てみることにした。

…すると揺れは収まった。