人は、あまりに驚きすぎるとリアクションするのも忘れてしまうらしい。
布団を摘まんだまま、硬直する。
とりあえず、このエロ漫画みたいな状況をどう説明すればいいのだろう。
思い出せ!思い出すんだ!
昨日、一体、何があった?
・・・・だめだ。
頭に力を入れると、こめかみに拳を当てて思いきりぐりぐりされてるような激痛が走る。
昨日、自分のキャパシティを越える量のアルコールを摂取したというのは、もう、間違いなさそうだ。
慣れない酒なんか、飲むもんじゃない。
自重しよう。
「さむい・・・」
・・・・はっ!
聞き慣れない声で、現実に引き戻される。
見ると女は潤んだ目で、僕を見上げていた。
厚い唇や、その端にあるホクロが、色気を更に増加させている。
まるで画面の向こう側の誰かみたいに、尋常じゃないオーラだ。
ていうか、こんな人、本当に現実にいるんだな。
しかも、そんな人が今、こうして僕の部屋のベットの上にいるなんて。
もうわけが分からない。
なんだろう、これ。
なんか怖い・・・。
悪い夢・・・?
ヤバそうな人とか、出てこないよね?
額を流れる脂汗は、完全に、冷や汗に変わっていた。
「あ、すいません・・・」
そう、咄嗟に謝って、もう一度彼女に布団を掛ける。
いやいやいや。
よくよく考えたけど、何で僕が謝ってるんだ?
ここは、僕の家なわけだし。
でも、逆らったらマズイ空気出てたし・・・
どうしよう・・・

