・・・気がしたけど、どうやらそれは気のせいだったらしい。



「そう言うわりに、寂しそうな顔してますけど?」



また、不敵に笑う。

しかも、痛いとこついてくる。
まるで全て見透かされているみたいだ。

寂しそうな顔、してたのか・・・。

確かに、さっきの言葉は、三木くんに言っているというより、自分に言い聞かせてるような感じだった。

そうでもしないと、亮太と、このまま終わってしまいそうな気がしたから。



「このまま、ずるずる付き合ってて、意味あるのかな・・・・って、正直、たまに思うんだ、」


「・・・そういうのって、多分、別れたらスッキリしますよ」


「え?」


「あ、いや・・・なんでもないです」



三木くんは、言いかけた言葉を誤魔化すように、淡々とリゾットを口に運んでいく。
食べるの、早い。

張り合うように、私もスプーンを動かす。

あつっ・・・

やっぱり早食いはよくない。
またやけどしそうだ。

スプーンと空になったお皿をテーブルに置いた彼の名前を呼ぶ。



「三木くん、」


「・・・なんですか?」


「もし、私が抱いてって言ったら・・・抱いてくれる?」



自分でも、なんて質問だと思いながら、でも、口が勝手に動いてしまった。

もう、取り消すことはできない。

口走った直後に後悔して、取り消そうと顔を上げると、彼も私を見ていた。



「無理です・・・」


「亮太が、いるから・・・?」


「そんなの関係ないです、けど、中村さんは、無理です」



ああ、やっぱり。

私は恵美ちゃんみたいに可愛くないし、ほんと、普通の女なんだから。
こんなに格好いい三木くんが、相手にするわけない。

やっぱりちょっとだけ、自惚れてたみたいだ。

だって、ずるいんだもん。

私の言葉に驚いたり、話を反らしたり、何かを誤魔化したり。
クールな彼からは想像できないような一面を、たくさん見せられたから。

それは、自分だけに見せてるのかもって、思ったって無理ないでしょ。