301号室、302号室、303号室





・・・気がしたけど、どうやらそれは気のせいだったらしい。



「そう言うわりに、寂しそうな顔してますけど?」



また、不敵に笑う。

しかも、痛いとこついてくる。
まるで全て見透かされているみたいだ。

寂しそうな顔、してたのか・・・。

確かに、さっきの言葉は、三木くんに言っているというより、自分に言い聞かせてるような感じだった。

そうでもしないと、亮太と、このまま終わってしまいそうな気がしたから。



「このまま、ずるずる付き合ってて、意味あるのかな・・・・って、正直、たまに思うんだ、」


「・・・そういうのって、多分、別れたらスッキリしますよ」


「え?」


「あ、いや・・・なんでもないです」



三木くんは、言いかけた言葉を誤魔化すように、淡々とリゾットを口に運んでいく。
食べるの、早い。

張り合うように、私もスプーンを動かす。

あつっ・・・

やっぱり早食いはよくない。
またやけどしそうだ。

スプーンと空になったお皿をテーブルに置いた彼の名前を呼ぶ。



「三木くん、」


「・・・なんですか?」


「もし、私が抱いてって言ったら・・・抱いてくれる?」



自分でも、なんて質問だと思いながら、でも、口が勝手に動いてしまった。

もう、取り消すことはできない。

口走った直後に後悔して、取り消そうと顔を上げると、彼も私を見ていた。



「無理です・・・」


「亮太が、いるから・・・?」


「そんなの関係ないです、けど、中村さんは、無理です」



ああ、やっぱり。

私は恵美ちゃんみたいに可愛くないし、ほんと、普通の女なんだから。
こんなに格好いい三木くんが、相手にするわけない。

やっぱりちょっとだけ、自惚れてたみたいだ。

だって、ずるいんだもん。

私の言葉に驚いたり、話を反らしたり、何かを誤魔化したり。
クールな彼からは想像できないような一面を、たくさん見せられたから。

それは、自分だけに見せてるのかもって、思ったって無理ないでしょ。