名前も住所もない、その一通のファンレターに、私は幾度となく救われてきた。

最初見たときには、少し怖いし、気持ち悪いとも思ったけれど、一人ぼっちの夜、不意に孤独を感じたとき、読み返すと不思議と安心できた。

文面から伝わる不器用さがまた、胸に響く。

その手紙の送り主が言う「好き」に、見るたび心が舞い上がる。

どんなかたちであれ、「好き」と言われるのは幸せなことだ。

ファンとして。人として。女として。

その中の、どの「好き」かは分からないけど、私のことを好きでいてくれる相手には、少なからず愛情が湧いてしまうものだ。


この送り主は、どんな人だろう。

きっと、不器用で恥ずかしがりやで、真面目すぎるくらい、真面目な人だろうな。


って、たまに考える。