陸人と付き合い始めたのは、五年くらい前になるか。
出会いから数えると、もっとずっと前だけど。
昔から、家が近所ということもあり、家族ぐるみで仲が良かった。
いわば、幼馴染みというやつだ。
高校卒業後は、一緒に上京し、私はアイドルという夢を追いかけ、陸人は就職した。
それでも上京したての頃はこまめに連絡を取り合い、週に一度は会っていたものだが、最近は彼が仕事で忙しくなり、なかなか会えていない。
もう、最後に会った日から一ヶ月は経ったか。
連絡も、なんとなくしずらくて、していない。
でも、毎年この時期はそうだった。
陸人の仕事が、特に忙しいらしい。
当然クリスマスも、ここ数年、一緒に過ごしていない。
でも、まともな仕事に就いていない私が、一生懸命働く彼の邪魔をするわけにはいかない。
だから、会いたいなんて、私から言えたことではないのだ。
そろそろ、潮時か・・・
最近、そんなことを考えるようになっていた。
会えない時間が増えていくにつれ、私たちの距離も離れていくような、そんな気がした。
「いい歳してアイドル目指して、馬鹿馬鹿しい」
きっと、家族も、陸人も、そう思ってるはずだ。
いつまでも子供の頃の夢にすがりついてる私を、鼻で笑って、陸人だって「僕が保証する!」なんて言ったことも、もう忘れてるだろうな。
それで、他に好きな子作ってたって、おかしくない。
もう私たち、駄目かもしれない・・・
『・・・・もう、どうしたらええんやろ』
ぽつり、独り言を呟いて、いつものように膝を抱く。
みんな離れていって、最終的に一人ぼっちになるみたいで・・・こわい。

