「もしもし」


「久しぶり、元気やった?涼子」


「うん、まぁ、元気」


「ほんま?ちゃんと自炊してる?栄養偏ってへんやろな」


「んー、大丈夫やって。もう、おかん心配しすぎよ。」


「あんた昔っから危なっかしいねんもん、心配もするわ。鍵閉め忘れたり、窓開けっぱなしで寝たりしてへんやろな?気を付けなあかんで」


「うん、分かってる」


「で、今年の年末は、帰るん?」


「いや・・ごめん・・・今年も無理そうやわ・・・」


「そっか・・・あ、陸人くんは元気?喧嘩してへん?仲良くしてる?」


「大丈夫、仲良しやから」


「そう、じゃあ、心配いらんね」


「うん・・・おかんも、体に気ぃ付けてな」


「うん、じゃ」


「じゃあ、またね」



うちのおかんは、心配性だ。
どの家の親よりずっと、ウザいくらい過保護だと思う。
昔から、女手一つで育ててきたから、それも無理ないけど。

ほんで、よう喋る。
多分、都会の人がイメージする大阪のオバハンそのまんまって感じ。

けど、よう喋るわりに気ぃ弱くて、変なとこ気ぃ使いやから、ほんまに言いたいことは、口にしないことが多い。
娘の私にくらい、話したってええと思うのに・・・



娘だから、言えへんこともあるか・・・・



ほんまはもっと、頻繁に実家帰ってきてほしい、とか、私が東京でどんなことをしてるんだろう、とか思ってるくせに。
やっぱり、私に気を使ってあんまりしつこくは言ってこない。


私も、実家帰ったら、東京に戻りたなくなる気がして、帰る勇気が出ない。



うちも、おかんに言えへんこととか、言うてへんことも、たくさんあるのに。

陸人の、こととか・・・