僕からは、彼女に名前を訊ねたり、しなかった。

名前を褒められたことに対する返答すらしなかった。

少しでも愛着を持ってしまうと、負けな気がして。



・・・ああ、そうだった。


ようやく目覚め始めた冷静な頭で考えて、思い出したんだ。
ああ僕はこんな、ひねくれた性格だったんだって。


どうかしていたんだ。


昨日会ったばかりの女に心が揺らぐなんて。



黙ったまま、クリスマス特集と題した企画をお送りしている情報番組を眺めていた。



どうせまた、



今年も一人のクリスマス。



普段の日常と何ら変わらない一日として、終わるのだろう。



また、あの子に話しかけられないまま。