あ…
桜…
風で飛ばされてきた桜の花びらが
俺真新しい制服にくっつく。
空を見上げると
薄いピンクの桜と、水色の空が混じりあって
マーブリングされたみたいだ。
俺は戸村叶多(トムラカナタ)
今日から高校生になる。
「森宮高校入学式」とかいてある白い看板を目の前に
俺はその先にある門を潜ろうとする。
すると
「トム~!」
と、俺の名前というかニックネームを呼びながら後ろからやって来たのは
俺の小学校からの親友
木田隆也(キダタカヤ)
「何か、緊張するくね?」
隆也は自分の制服の襟元をいじくりながらそう言う。
「まぁ。緊張しないって言ったら嘘になるけどなっ」
俺は目の前にある「入学式」の看板を見る。
高校生になるという自覚を持てないまま
俺は隆也と一緒に正門を潜る。