「せっかく俺が隣にいると言うのに」
オオカミくんはそう言うと、
ハァとわざとらしい溜息を吐いた。
喋ってからまだ一週間だと言うのに
この人はフレンドリーすぎる。
というよりは、すぐ口説きたがる。
「性格もイケメンだったら惚れたかも」
「何それ。ガリ勉とか?」
「ガリ勉とは違うけど」
「じゃあ俺でいいじゃん」と
私の肩に腕を回す。
私はその腕をすぐに振り払い
ノートにペンを走らせた。
「つまんねーの」
隣からそんな声が
聞こえたかと思えば、
すぐに寝息が聞こえてきた。
「…意味解んない」
オオカミくんは理解不能だ。

