すると、隣に慧が座った。

私は、気付かないふりをして、本を読んだ。

慧は、ニコニコしながらこちらを眺めている。

私は、その視線に耐えられなくなり、

「な、何?」

と尋ねた。

すると、

「可愛いなぁって。」

と微笑みながら返した。

(いつも、そうやって女子を落としてるんだ。)

と思いながら、また本に目を戻した。


「…ねぇ。」