「はい、これ、クリスマスプレゼント」
僕は、ミドリに包みを渡した。
「ありがとう。開けてもいい?」
「もちろん」
ミドリは手探りで包装紙をはがし、中から木箱を取り出した。
「これ、」
僕は、木箱についた金具を外し、ふたを開いた。

マライア・キャリーのあの曲が流れ出す。

「オルゴール?」
「うん。ごめんね、こんなものしか用意できなくて」
「ううん。嬉しい」

僕はふと空を見上げた。
東の空、沈み行く太陽のちょうど反対側に、一番星が見えた。

「星が見えるよ」
「うん」
「凄く明るい」
「うん」
「もうずっと前からそこにあるみたいだ」
「そうだね」
「見える?」
「うん。見えるよ」
「・・・そう」
「あのさ、もしかしたら照れ臭くて言えないかも知れないから、先に言っておくね」
「なに?」
「ありがとう」
「え、先にってもうプレゼントあげちゃったよ?」

「それと、さよなら」

「…」
「あたしのこと、忘れないでね」

ミドリは微笑んでいた。

僕は泣いているのを気づかれないようにするのが精一杯だった。

「忘れないよ。ずっと」
やっとのことでそれだけ言った。