12月24日

目がさめたら病室だった。
体が重い。吐き気がする。
目が霞む。

私が閉じ込められていたあの部屋は、あの男の部屋だった。
どうやら私のためにわざわざ借りたらしい。

去年の今ごろ、2003年の最後の日曜日、私は見知らぬオヤジにレイプされかけた。
大掃除のための買い物を済ませ、家に帰る途中、忘年会帰りの酔っ払いに川原で襲われた。
そのとき、私を助けたのがあの男、遠藤康介だった。

私は年が明けてからすぐ、お礼を兼ねて遠藤を初詣と食事に誘った。
私と遠藤は明治神宮の人いきれの中を歩き、手短に参拝を済まし、レストランで食事した。
神経質な食べ方。当り障りの無い話題。有り合わせであろう着古した服。
周囲から完全に浮きまくっているそのセンスの悪さ。
私は早く帰りたかった。
確かに感謝しているし、お礼をしたいという気持ちは本物だったのだが、どうしても私は遠藤を受け付けることは出来なかった。
だけど、時間はずるずると進み、夜になり、誘われるままにホテルに行き、寝た。
まるで事務処理みたいなセックスだった。
右から左へ代わり映えのしない書類を片付けていくように、私は事を済ませた。
遠藤が眠った隙に、私はホテルを抜け出し、タクシーを捕まえ、急いで家に帰った。
早く忘れたかった。
それから何日かして、遠藤が家にやってきた。
駅前で私を見つけ、尾行してきたのだという。
私は住所を知られてしまった。

それから、遠藤は私に付きまとうようになり、結果、この様だ。

あの部屋に、遠藤はコンビニで買ったケーキを持ってきた。
そして私の手錠をはずした。
私とクリスマスパーティーをするのだと言う。
私は怖くなり、警察を呼ぼうと、鍵の掛かっていない玄関から飛び出した。
が、また取り押さえられ、首筋にこの前と同じ痛みが走った。

その時、