2005/12/23(金)

今、病院に居る。
暖房の効いた病院のロビーでこれを書いている。
昼夜を問わずこの寒空の下を動きつづけていたせいか、体中が突っ張ったように痛い。
ちょっと動かしただけでも、ぎしぎしと嫌な音を立てる。

今朝、病院の受付でミドリが入院していることを確かめ面会を申請したら、断られた。
ミドリは今集中治療室に入れられ、面会謝絶なのだという。

彼女の両親は待合室に居た。
僕が挨拶をすると、二人は驚き戸惑った。
僕にだけは教えて欲しくないと、ミドリから強く言われているらしかった。
僕が問い詰めると、母親は諦めたように疲れたように事情を説明し始めた。

ミドリのからだは、もう限界に近いらしい。
去年、あの男に注射された薬物の影響で、神経系統を始め筋肉組織や循環器系が壊疽しかけているのだという。

ミドリは、内側から腐り始めている。


あの男の投与した薬物はまずミドリの視神経を破壊した。
それを食い止めるためにどんどん強力になっていく抗生物質は、ミドリの容姿を崩れさせた。

頭髪は全て抜け落ち、
目は落ち窪み、
肌は荒れ、
拒否反応の現れとして、体中に赤い斑点を作った。

ミドリの顔は発疹と、それを掻いたために出来たかさぶただらけだった。

僕はそれでも良かった。
だって、ミドリは生きていて、いつも僕の傍に居た。