僕はアキラに騙されたのだ。

いや、アキラはそんなに器用な人間ではない。
たぶんミドリが、僕が追うことを予想して、アキラにあらかじめ嘘を教えておいたのだろう。

その女性はそれから親切に僕の話を聞いてくれた。
僕は彼女にミドリの実家の電話番号を聞き、そのマンションを後にした。

日が昇り、通勤ラッシュが始まる頃に、ミドリの実家に電話をかけた。

意外とあっさりとミドリの居場所は判明した。
それは電話に出たミドリの祖母からもたらされた。

彼女は両親と共に、今、病院にいる。