鬼セカイ


彼女は動かない。

だから僕も動きようがない。


ただ、いつ来てもおかしくない。


そんな中、僕は予想した。

彼女がいつ来るか。

彼女が来て、本気で戦うべきか。

そして、勝てるのか……を、


そろそろ来るだろう。
足をかすかに動かしていた。


そして、予想的中、動いた。
彼女は地面を蹴る。

距離は一気に縮まる。

一発目から短剣で僕の顔を狙ってくる。


だが僕は、それを難なくよける。


意外と遅い………。

いや、彼女に失礼だった。取り消そう。


そして、続いてくる彼女の攻撃もよける。

そんな余裕をかまして僕はさっきのことについて考える。



そう、手加減の話だ。

今決めた。

手加減しよう。
しなければ殺してしまうかもしれないから。



そして僕は彼女に提案した。


「ねぇ、君さ、鬼の力は使うつもり?」
短剣や拳をかわしながら聞く。



すると鼻で笑い返答する。

「あなたはバカですか?こんなところで使うと学校壊れますよ?」
と、言いながら回し蹴り。

その蹴りをかわす。


ちゃんと常識はあった。



でも、スカートでよくやるなぁ、と少し感心してしまう。


そして次の疑問が浮かぶ。それをそのまま口に出す。
「じゃあ、その短剣と素手で戦うの?」


そして彼女は
「そうですが、何か?」
と、睨みつけて言う。


その答えに納得する。

要するに僕も素手で彼女と戦って、さらには勝たなくてはいけない、という事になる。


女の子に暴力をふるうのは気が向かないがしかたない。



その時、ありがたいことに彼女の攻撃が一時的に止まった。


一度深呼吸をして決断する。

自分を守るには勝たなければならない。


今度は僕が地面を蹴った。