鬼セカイ


眼前の彼女の手には短剣が握られている。

それに、いつでも殺せるような、そんな殺気を放っている。

「黒鬼さん。どうして武器を出さないんですか?」
不思議そうに僕をみる。

「え?!どうしてって、………」
焦る。

「私に殺されてもいいんですか?」

「そんなわけないだろ!」
とうぜん突っ込む。

「ははは。」
後ろで楽しげな笑いをしている遥がいる。

しかも、自分だけ安全なように防御結果はってるし……………

「おい!遥!!」
「ん?なんだ?」
ニヤニヤしながら場遥は返事をする。

「なんだ?じゃない!!どうすればいいか教えろ!」
「ナイス突っ込み。」
別に突っ込んでねぇし……てか、答える気、ぜってぇねぇな、コイツ。


諦めて彼女の方を向いた。

「なんですか?」
睨みながら僕に短剣を向けて言う。

「いや、あの、何故、僕は殺されるんだ?
必要あるか?」
聞く必要はあった。

彼女の目から、先ほどとは比べものにならないような殺気が放たれた。


「何故と、言いましたか?」
すると、僕を見ながら訪ねた。

「………あぁ」
それに答える。

と言うか正直、戦闘は避けたい。

彼女はする気まんまんだけど………

「姉さんのことに決まってるでしょう?」

彼女の顔が少し歪んだ。
その顔をみてまたどうしようもない気持ちになる。

「……………」
それに、何も言い返せない。

下唇を噛む。

やばい、泣きそうだ…………

必死に我慢。

「弁解があるならどうぞ」
真剣な顔で彼女は僕にそう言う。

「じゃあ、一つだけいいかな?」

間があいて、

「どうぞ」
彼女はそう言った。


「君は東夏についてどんな説明を受けているんだ?」

彼女の目がおよぐ。

「そ、それは黒鬼さんが、姉さんを殺した………と。」

やっぱりか、

はぁ、とため息をついて彼女に言う。

「柴鬼、お前が勝てたら殺していいぞ。」

「最初からそのつもりです」
当然のような顔をする。

「僕が勝てば?」
必要だろ。

「なんでも言うこと聞きますよ。」
思いついたことを言った様だった。

「……………なんでも、ね、」
納得した僕は答える。

「はい。」
顔つきが変わった。



「わかった、始めようか。」
そして、それに合わして変える。


「面白そうな事になったな、」
遥は笑っていた。