…………………わかってる。



それでも、幼い頃はなんでも叶うと思っていた。

夢も願いも、すべて………
だからこの力だっていつかは消えると信じてた。

彼女を殺したこの力も。


本当にそう、思っていたんだ。






あれから丁度八年ほど経った。

僕は高校の入学式会場にたっていた。
と、言っても僕が入学したわけではない。
僕は高二だ。


新一年生の入学式。


「ふぁぁあ」
あくびをした。
ついでに軽く伸びる。

隣から少し見られたが、どうでもいいので気づかないフリ。

校長らしき人物が話をしている。

だが、僕が聞いたのは最後の言葉だけ、

『以上で入学式を終わります。』
という言葉。

その放送が終わり、新入生が退場する。
そしてそれぞれの教室へ帰る。

僕も流れにそって歩きだす。


その時

「おーい。真雄、」
と、呼ばれた。

呼んできたのが誰なのか振り向かなくても分かった。

だから無視。


あ、そういえば自己紹介がまだだった。

今してしまおう。

えっと、“黒鬼 真雄”(こくき まお)

そう。人ではない。
“鬼”だ。

黒の鬼。


そして今呼んできたのは一つ年上の
“青鬼 遥”(せいき はるか)

こいつも人ではない。
僕と同じ……いや、違う

まぁ、“鬼”だ。

こいつは青の鬼。

「真雄っ!聞こえてんだろ?」
肩を叩かれる。

そして、僕は大きなため息をついてから返事をする。

「なんだよ?遥。」
面倒アピールをしながら答える。

「おいおい、先輩を呼び捨てか?」
半笑いで訪ねてくる。

「うるさい。用があるなら早く言え。」
歩きながら話す。

「ピリピリすんなって、あー、今日暇か?」
その問に毎回こう答える。

「そうだ、と言ったら?」
バカにしたように聞く。

「今日、部室にきてくれ。話がある。」
真面目な顔になった。


いい話ではなさそうだ。

「わかった、わかった」
そう言ってスタスタ歩く。

「何怒ってんだ?」

ついてくる。
だからと言って何も気にする必要はない。
そして答えてやる。

「眠い。」
と、言う。

すると少し笑う。
笑う理由は見当たらない。

これ以上話すのはめんどくさい。


「じゃ、部室でな」
と、言って話を終わらせた。