迷う僕にもう一度聞く。

「あなたは、本当に姉さんを殺したんですか?」

答え方は変わらないのに。

「だから何だよ?………僕が殺したんだよ。」
下を向いたまま言った。

それに対して、

「ウソです。」
「ウソじゃない。」
「ウソです。」
「ウソじゃない。」
こんな会話が続く。


ると彼女はため息をつき、

「ねぇ、あなたは姉さんの事好きだったんですよね?」

と、いきなり、話題を変えた。

頭が真っ白になっていた。
間があいて僕は答えた。
「は!?何でそうなるんだよ!?」

そう言うと彼女は不思議な顔をした。

そして、こう言った。

「じゃあ、嫌いだったん………」
「そんなわけないだろ!?」 

彼女が言い終わるまでに突っ込む。

「まぁ、いいです。」
面倒くさそうに言う。

「なんだよ!その態度は!」
ついつい突っ込んでしまう。

「正直僕だって分かってないんだよ。東夏のことを好きかどうか…………。」
そう言った僕の前に、驚いた顔をしてくる彼女がいる。

「分かりました。………私、あなたを殺すのやめました。」
立ち上がりながら彼女が言った。

「やめた?何で、いきなり、………」

彼女が鋭い眼差しを向けてくる。

「決まってるじゃないですか?どう見てもあなたが、姉さんにベタ惚れだからです。」

顔が熱くなった。

「そこまでじゃない!」
彼女の肩がピクッとした。

「へぇ~。そこまでじゃない…………ですか。
………と、言うことは少しは好きだったんですね。姉さんの事。」
悪質な笑みをむけてくる。

多分言い方を誤った。

そして、どうしようもなくなった。

多分これは世に言うアレだ。



………そう、自爆。


       ・・
「そっか、黒鬼先輩は、私の姉さんが好きなんですね~」
悪質な笑みをした彼女、バカにしてる。

だが、それを聞いてる僕の顔はまだ熱い。


あきらめた。


すると今度は彼女が赤い顔をして、向かい側に立った。


もぞもぞしている。


そして、ゆっくりと口を開いた。
「………黒鬼先輩………。」
その緊張感につい飲まれてしまう。


「な、何かな?」
息をのむ。


「ね、姉さんのこと………好きになってくれてありがとうございます」
一例する。


当然戸惑っていた。


少し遅れ答えを出す。


「え?あ、はい。どういたしまして……?」


きっと僕は、彼女の予想外の反応に返す言葉が出てこなかったんだろう。


「あの、姉さんは鬼の力持ってないのに、紫の髪をしていた、と言うことであまり良く思われてませんでした。家族からも友達からも。」

彼女が語り出す。

「だから、その姉さんを好きになってくれたことに感謝してるんですよ。」
顔を上げた彼女の顔は泣きそうで、それでも頑張ってる。みたいな顔だった。


でも、これは本心だろうか。

少しばかり酷いことを考えてしまった。



でも、まぁ、悪い気はしなかった。